梨の実通信


五十嵐きよみの短歌ブログ。 ぼちぼちいってみたいと思います
by noma-iga
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ハスキーボイス


まだ指のふれぬ黒鍵ならぶごと少女ふたりはそろって無口

背比べしたのはむかし屋根裏に叔父の遺したコントラバスと

口数がいちばん少ないともだちはト音記号をかくのがうまい

青空につながる螺旋階段にならんでクラス写真を撮ろう

一本のエビアン水を分けあって飲むたびおなじ空を見上げて

たわむれにたがいの手首をつなぐため制服の黒ネクタイほどく

洋梨を交互に齧りゆくような約束かわす舌透けるまで

錆びついた野ばら咲かせて海までの道をふさいでいる鉄線は

仕立て屋のショーウィンドウの片隅に姉と呼びたい人台がいる

4Hの芯で描いた横顔の上級生はハスキーボイス

庭先にダリアを切ってきたあとの手はいつまでも鋏のにおい

五線紙をまだ抜けだせぬ鳥を抱き音楽室まで午後の廊下を

燃えさかる楽譜を抱いているような夕焼けのそら鎮火するまで






連作個人誌「梨の実メール」第10号(2004年1月24日発行)に収録。
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by noma-iga | 2006-09-27 21:53 | 短歌作品
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